ユネスコ水中文化遺産保護条約

商業目的に利用されてはならないことを明記

条約では水中文化遺産を「文化的・歴史的または考古学的性質を有する人間の存在のすべての痕跡で、その一部または全部が定期的または断続的に、少なくとも100年の間水中にあった考古学的・自然的背景を有する文化的遺物」(第1条1項)と定義し、水中文化遺産は商業目的に利用されてはならないこと(第2条7項)、また専門家による調査の徹底や、領海、接続水域、排他的経済水域、大陸棚、深海底など海域ごとに保護措置が設定されており、沿岸国の強い権限を認めています。水中文化遺産の保護、および保存は国家が負うべき義務であり責任であるという考えに基づいています。

水中文化遺産発掘ににおける条約の精神を尊重する姿勢

文化遺産を包蔵するサルベージについてはユネスコ条約の精神を尊重し、人類の利益のためにおこなわれる必要があります。そのためには、それぞれの水中文化遺産が現在おかれている状況を把握することも重要です。例えば水深の深いところに位置する沈没船は、未知のバクテリアの存在や引揚げ技術の限界などを考え、また無駄な事故や犠牲を防ぐ意味でもそのまま海底に眠らせておいたほうがよい場合もあります。しかし逆に、水中での劣化や風化、ハリケーンによる文化遺産の損壊や散乱、またトレジャーハンターたちによる盗掘から守るためにも、早急に引揚げて歴史的検証や保存処理をおこなうべきものも多数存在しています。条約を尊重したうえで、海底で保護するべきなのか、それとも引揚げて現代に蘇らせるべきかを見極めなければなりません。このことは国家、国際機関、学術機関、専門機関、考古学者、ダイバーなど、水中文化遺産発掘にかかわる全ての人々が取り組むべき課題でしょう。

世界的な動向
  • 世界中の海に眠る沈没船
  • サルベージの歴史
  • トレジャーハンターたち
  • 横行する営利目的のサルベージ
  • ユネスコ水中文化遺産保護条約
  • 日本でも急がれる法整備
  • RSTとロバート・F・マークス氏が目指すこと