素潜りで到達できる深さよりもさらに深い海底まで潜ることができるようになったのは、1690年イギリスの天文学者エドモンド・ハレーが「ダイビング・ベル(潜水鐘)」を考案してからです。釣鐘形の防水加工をした木製の装置で、ここに地上で空気を閉じ込めてダイバーを乗せ、鉛の重りとともに海底に沈めました。ダイビング・ベルには水中で探索活動をおこなえるよう窓も取り付けられており、ダイバーは空気の入ったフードをかぶって海底を歩くこともでき、沈没船の探査や硬貨、金、銀、大砲などの遺物を回収しました。フードの中の酸素がなくなるとベルから送り込まれる仕組みになっており、ベルには別に海底に沈めた樽から空気が配給されていました。水深17メートルの海底で約1時間半の作業が可能だったといわれています。ダイビング・ベルはその後改良され、19世紀には金属製のものが使用されました。
1943年にフランス人のジャック・クストーとエミール・ガニアンによりスキューバ(自給式水中呼吸装置)が発明され、サルベージ作業は飛躍的に発展しました。圧縮空気を充填したエアタンクと呼吸ガスを供給するためのレギュレーター(自動調整器)から成り現在では一般的なこの潜水器は、もともとは軍事目的に開発されたものでした。水中での作業性に優れているため1950年代には世界中に普及し、サルベージにも利用されるようになりました。1945年以降、海底探査技術はさらに大きく進歩し1960年代には本格的な潜水調査艇が登場、これまで手つかずだった深海に眠る沈没船の探査や引揚げもおこなわれるようになりました。現在までに発見された有名な沈没船には、1628年にストックホルム港で沈没したスウェーデンの戦艦「ワサ号」(1956年発見、1961年引揚げ)、1545年にポーツマスで沈没したイギリス・ヘンリー8世の戦艦「メアリーローズ号」(1967年発見、1982年引揚げ)、そのほかにも16~18世紀に使用されたスペインの大型帆船ガレオン船などがあります。