![]()
![]()
山本:改めて文章で読むと、今までマークス氏本人から聞いていたエピソードの繋がりが明確になりました。
風間:生い立ちも語っていますよね。マークス氏は少年時代に家出を経験されたのですね。

山本:そうです。以前、マークス氏に「当社は沈没船引揚げ事業を通じて、最終的には海洋環境保護や児童育成に関わりたい、孤児院をつくりたい」という話をしたとき、「実は自分も施設にいたことがあるんだ」と語っていました。そういう折々に聞いていた彼の人生の断片が大冒険を軸に集約されていく、その過程がまた面白かったです。
風間:彼の著作の中でも毛色の違った一冊であること、また後書きでも触れられていたような不思議な縁で始まったことを考えても、記念すべき翻訳一冊めになりましたね。この縁が繋がるのなら、ぜひ他の著作の翻訳を……今度はサルベージ関連の本などを手がけてみたいと思っています。
山本:ありがとうございます。映画「パイレーツ・オブ・カリビアン」の舞台になったジャマイカのポートロイヤルでの引揚げに関する著作なども話題を呼びそうですしね。
風間:それはいつ頃のお話ですか?
山本:1980年代です。あれはマークス氏本人が現場に勢いこんで赴き、現地人ダイバーを何人も雇って引揚げたんですよ。結果、カリブから中国の物品が揚がったりしています。
風間:面白そうですね。そういった冒険的な側面と、なぜ中国の製品が揚がったか、という学術的な見解を織り交ぜていけば……
山本:そう、彼は当時の航路や運搬事情なども把握して、考察を加えているのです。それも魅力的ですが、「ロバート・F・マークス物語」みたいなものができて、それを書いていただければ嬉しいなと思ったりします。
風間:面白さのエッセンスを凝縮したものをね。
山本:彼は20代の頃すでにガレオン船の研究をしているんですよ。そうした確かな知識に基づいた命がけの検証が、諸々の事情で日の目を見ないこともある……。
風間:冒険家の悲劇みたいなね。いいですね、その視点。
山本:はい、ぜひとも風間さんの翻訳で実現できればと思います。今回の作品はロバート・F・マークス氏と風間さん、お二人にとって“初の日本語訳ノンフィクション”となりました。そしてこの二つの“初めて”が、とてもいい具合に共鳴し合っていたように思います。これをご縁に次のステップへと繋ぐことができたら幸いです。本日は、ありがとうございました。