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先ほどの「35年の集大成」のお話をお聞かせいただけますか?
八重野:20代の頃、はじめて取り組んだのが天草四郎伝説に絡む財宝の発掘でした。天草軍が軍用金を隠したとされる「三角池」を探そうというものです。これが今思うと信憑性の低いものでした。でも、今となってはそれで良かったんだと思っています。
それまでは密かに行われるのが慣習だった埋蔵金発掘を公にすることでマスコミにも注目されました。多くの仲間と共ににぎやかに4年間探し続けた結果、自分の取り組み姿勢がハッキリしました。
少しでも可能性があるなら挑戦する価値はある。「まさかあり得ないだろう」と誰もが思う財宝を発見できて、そのギャップが大きければ大きいほど面白いじゃないですか。半信半疑の人々の驚いた顔が見たいというのが原動力になっていることを自覚しました。普通35年も探し続けたら疲弊してしまうと思うんですが僕らは楽しくやってきた。ここに宝があるんだと100%信じていたらそんな風にはできなかったでしょう。のめり込んで身を持ち崩す人も少なくないですからね。
引き際は難しそうですね?
八重野:昔の人の技術で掘って、いざというときはすぐ掘り出さなければならない埋蔵金です。地中何十メートルにもなるはずがない。今まで発見された埋蔵金は一番深いところにあったものでも1m50cmですから。でも掘る側は「もう10cm、もう10cm……」を繰り返しながら深みにはまってしまうんですね。
財宝が欲しいという気持ちだけでは荒んでしまうんでしょうね?
八重野:まず仲間と一緒にひとつのことに取り組む。そのプロセスに大事なことが詰まっている気がします。楽しいことばかりでもなかったけれど一度もやめたいとは思いませんでした。でもこんな風に振り返れるのもこの35年間があったからこそですね。気持ちの面でも随分と鍛えられたと思いますよ。
そしてその積み重ねがいよいよ目前に迫っています。人々の驚く顔を見ることができそうです。

もっと具体的な情報を教えてもらうことは可能でしょうか?
八重野:とある山の中の金山跡を調べています。幕末までは道がついていたらしいけれど、今はその形跡もありません。17年前に一度挑戦したのですが土砂崩落が激しく入口がどんどんふさがれてしまって断念した場所です。それを国の許可を取りつけて昨年再開しました。雪解けには再開して、梅雨前には皆の驚く顔を見ることができると思います。
その日がくるのが楽しみです! でも随分と危険な場所を経験されているのですね?
八重野:いや、もっと危険な場所も経験していますよ。これも軍が山のてっぺんに掘ったトンネルです。大陸から持ち込んだ美術、貴金属など当時で3億円、現在に直すと3000億円相当の財宝が埋まっているというのです。
危険な場所に隠すだけの価値があるということですか?
八重野:崩れやすいし酸欠状態です。ゴミ袋で一番底の空気を掬って何度か捨てないとロウソクも点かない。天井はドーム型でいつ崩れるかという心配をしつつ、つっかえ棒をしながらの作業です。
水も食糧もない。すべて背負っていきますから送風機など持っていく余裕もありません。雨が降ると大喜びでシートで雨水を集めそれで米を炊いたこともありました。
普通の人間ではとても無理なのでアウトドアのグループに声をかけて3泊4日の強行軍を9回くり返しました。
そういうお話もとても楽しそうに語られますね!
八重野:その時は大変でも後で思い出すと面白くなってくるんですね。苦労話も笑ってしまうんです。
八重野さんの宝探し人生のルーツはどこにあると思われますか?
八重野:子供のときから人を驚かせるのが大好きでしたね。
日本史の太平洋戦争の授業で頃合いを見計らって爆弾音が聞こえるように仕掛けたり、実家付近の畑に精巧な「養豚場用地」の看板を立てて近所を騒がせたり、高校の学園祭ではバザー券を偽造して先生も巻き込んだり……。10年後に友人が地方紙にその話をエッセイで載せたおかげで公にされてしまいましたけどね。

後で皆が笑えるような悪戯ですね!
八重野: 皆の驚く顔が見たい! そんな気持ちは今も変わりません。今とりかかっている場所には千両箱が15箱埋まっているはずですから、見つけたら帝国ホテルでパーティを開きたいんです。広間の真ん中に積み上げて持ち去られない工夫をしながら皆に直に触ってもらいたいと思っているんですよ。全国で展示会を行って皆と驚きを共有したいですね。そしてそれを資金源として最終的には発掘された地元に資料館を建てたい。回りの景観や美味しいミネラルウォーターと共に観光の目玉となるはずです。
八重野さんにとっての宝探しとは?
八重野:
宝探しは人間のすべての能力を振り絞って挑戦するに値するものだと思っています。
必要とされるのは知力、体力、そして精神力。精神力は粘り強さと共に引き際を判断できる能力も含まれます。こんな心境に到達できたのも35年間続けてきたからだと思っているんですよ。
先日オデッセイ・マリーン社が英国の軍艦を引揚げたニュースに絡みTV局からコメントを求められました。時間の関係で放映されなかったんですが、僕は「科学技術が発達したこれからは『海の時代』だ」と語ったんですよ。埋蔵金はあるのかないのかさえハッキリしない。それに対して海には確実に財宝が眠っているんですからね。楽しみにしています。