若い頃のロバート・F・マークス氏
1933年アメリカ・ペンシルバニア州に生まれ、少年時代に読んだスティーブンソンの小説「宝島」に魅せられて10代でダイビングを始めます。以来、現在まで50年以上にわたり歴史的沈没船の調査・発掘に携わってきました。
マークス氏はさまざまな語学に精通しており、古語やヨーロッパ言語で書かれた古文書を解読することが可能です。学術的調査や分析を徹底したのち現地に赴き、地元の関係者にもヒアリングし、自らも率先して海に潜りました。探査のためのダイビングは5000回を超え、アメリカにおけるダイバーのパイオニアでもあります。また水中考古学評議会や海洋調査協会の創立メンバーでもあり、一攫千金目当てのトレジャーハンターとは一線を画しています。
ニーニャⅡ世号
マースク氏自身もまた壮大なスケールの大冒険を果たしています。
1962年、コロンブスの航海をそっくりそのまま再現しようと、コロンブスが最初の航海に利用した1492年の帆船「ニーニャ号」のレプリカ「ニーニャII世号」でスペインからブラジルまで2カ月半の航海をおこない、見事成功をおさめました。その功績により、スペイン政府からイサベル・カソリック勲位の「ナイト」の称号を与えられています。
この時の冒険記「コロンブスそっくりそのまま航海記」をはじめ、マークス氏は50年以上に及ぶ沈没船に関わる活動のなかで、歴史や考古学、沈没船、探検の分野で800以上の報告書や論文、記事を発表し、60冊以上の著書を刊行しました。夫人であるジェニファー女史との共著による、数多くのノンフィクションも出版しています。
また水中考古学、海洋史、財宝探索、旅行などをテーマとし、アメリカをはじめ世界42カ国で講演をおこなっています。

「水中に眠ったままの歴史的文化遺産を現代に蘇らせる」という強い使命感を持つマークス氏は、サルベージ事業を通じてその国や地域の活性化を目指しています。
たとえば、引揚げ遺物の扱いや保護処理の方法を地元の人々に伝授することで、現地のサルベージ事業での雇用を促進させたり、地域活性化のための観光資源として引揚げ遺物を展示する博物館設立も構想中です。また、沈没船が眠る国や地域を水中考古学者達の見聞を広める現場視察の場としたり、「シップレックダイビング(沈没船を探索するダイビング)」を広め、水中文化遺産保護の意義を啓蒙していくこともおこなっています。
マークス氏はサルベージ事業を海洋環境ならびに文化遺産の保護を最優先で進めることをポリシーとし、環境保護と地域発展のためのさまざまな提案や交渉を政府と進めています。

